腎臓がん手術後のパニック発作60代 男性 福津市
来院までの経緯
2か月前、腎臓がんの手術を受けて退院した後から情緒が不安定になり、ほとんど眠れない日々が続いていました。
強い不安感やイライラに加え、過呼吸、胃の不調、胸の圧迫感、体をじっとしていられないといった症状に悩まされていました。
テレビや本の内容が頭に入らず、「この病気がなければ色々なことができたのに」と、健康のことばかり考えてしまう状態でした。
手術担当医から心療内科を勧められて通院していましたが、十分な変化を実感できず、
「感情のコントロールが難しくて苦しい。なんとかしてほしい」とのことでご来院くださいました。
初回来院時のお悩み
・不安で落ち着かない、感情を安定させたい
・夜眠れない
・食欲がない
初回来院時の心身の評価
「死への恐怖感」が強いご様子でした
鍼灸施術の経過
施術目的
がんという大きな病気と手術を経験されたことで、「死への恐怖」や「健康を失ったことへの喪失感」が強まり、それが過度な不安やパニック症状を引き起こす背景になっていると考えられました。
「病気がなければ…」と健康に執着しすぎることで、かえって心身の緊張を強め、自分を追い込んでしまう悪循環に陥りやすい状態でした。
そこで当院では、以下のポイントを重視して取り組みました。
・「健康でなければならない」という過度な執着を和らげる
・命の有限性と向き合い、「現在のご自身」をありのまま受け入れる
・意識を「病気や過去」から、「これからの新しい生活」へ向ける
また、睡眠の質が低下すると全身に自律神経症状が現れやすくなります。特に、睡眠に対する過剰な執着や恐怖が不眠を引き起こしていたため、それを取り除き、自律神経のバランスを整えることに重点を置きました。
施術内容
①自律神経のバランスを整えるための鍼灸施術
②自分を苦しめる考え方を見直すカウンセリング
③眠れる身体に整えるための、生活習慣を見直すセルフケア
初回
① 心身の緊張を和らげることを目的とした鍼灸施術を行いました。
② 死への恐怖感に対する捉え方を整理し、命の有限性と向き合うためのカウンセリングを行いました。特に、「現在のご自身を受け入れる」ことを目指してサポートしました。
施術後、「胸のあたりのモヤモヤが取れた」とのことでした。
2~5回目(週1回の来院)
鍼灸施術とカウンセリングを継続しました。
依然として、入院時に体を動かせなかったことや苦しかった体験が夢に出てくるとのことでした。
感情が乱れそうなときは、セルフケアで落ち着きを取り戻す工夫をされていました。
また、この方の場合は健康への過度な執着が不安を強め、症状を悪化させる要因になっていたため、思考の整理として、「健康のことばかり考えるのは止めて」、意識の向け先を変える練習を行いました。
「今までとは違う新しい生活をしよう」と考え、日記を書いたり、プールに通ったりするようになったとのことでした。
6~13回目(週1回の来院)
「不安感やイライラは気になりにくくなった。これから色々なことに前向きにチャレンジしていきたい」とのお話がありました。
睡眠薬を使わない日が増え、眠れるようになってきたとのことでした。
胃のもたれ感も軽減し、「食事がおいしい」と感じられるようになったとのことです。
読書やテレビを楽しめるようになり、新しく始めた水彩画にも熱中されているご様子でした。
現在
生活のリズムづくりの一環として、週1回のペースでご来院されています。
ご家族から「以前は目が怖かったけれど、最近は笑顔が増えてきたね」と言われたそうです。
※睡眠薬など服薬に関する変更は、主治医と相談しながら進めることが大切です。
※経過には個人差があります。
【このページの作成者】

豊田英一(とよだえいいち)
【国家資格】
・はり師
・きゅう師
・あんまマッサージ指圧師
【学歴】
・神戸大学大学院修士課程修了(心理学専攻)
【認定資格・終了】
・介護予防指導士
・医療リンパドレナージセラピスト
・感覚統合入門講習会応用コース修了
【所属団体】
公益社団法人 全日本鍼灸マッサージ師会
公益社団法人 福岡県鍼灸マッサージ師会
アクセス
JR福間駅から徒歩15分 駐車場:有り 2台


