来院までの経緯
30代 女性 東京都
双極性障害と診断され、心療内科に通院していましたが、3か月前に会社を休職しました。すべてにおいてやる気が起きず、特に朝がつらく、着替えや歯磨きもできない状態でした。
ストレスが溜まると菓子パンなどを過食してしまい、「食べることで精神状態を保っている」とおっしゃっていました。
数年前から、「私は何で苦しいのだろう、悲しいのだろう」と思っていました。
ご本人のお話では、ご主人には自閉スペクトラム症の特性があるとのことでした。夫婦の会話はほとんどなく、娘さんの不登校についても相談できずにいました。
学校の先生やソーシャルワーカーへの相談、親の会への参加など、ひとりで頑張っていました。「カサンドラ症候群なんだろうと思います」とおっしゃっていました。
過去にご主人から言われたことや、仕事でのミスを何度も思い返しては、そのたびに落ち込んでいました。そして、「家族の問題は、すべて自分のせい」と自分を責めていました。
「落ち込む考え方を変えたい」と、当院のオンラインカウンセリングをご利用になりました。
初回の心身の評価
・「すべて自分が悪い」という考え方のクセがみられました。
・同じことを何度も考えるぐるぐる思考(反芻思考)がありました。
カウンセリングの経過
目的と内容
➀考え方のクセを見直す
①考え方のクセを見直す
「家族の問題は、すべて自分のせいだ」のように、うまくいかないことがあると、原因はすべて自分にあると考えてしまいます。
こうした考え方のクセは、心理学で「認知の歪み」と呼ばれます。自分を責めることで、苦しさが強まってしまいます。
このクセの背景には、「自分はダメだ」「自分は能力が低い」と、心の奥に自分を否定する思い込みが隠れていることがあります。
この自己否定的な思い込みがやわらぐと、「すべて自分が悪い」という、自分を苦しめる考え方が変わってきます。
そのためには、自分が何を考え、物事をどう受け止めているのかを、客観的に見ることが大切です。
そこで、カウンセリングでは、考え方のクセだけでなく、心の奥の思い込みも見直していきました。
②心理ワーク
カウンセリングのない日にも、自分の考えに気づき、見つめ直せるように、次のような心理ワークに取り組んでいただきました。
・同じことをくり返し考えてしまうときに、その考えへの執着をゆるめる
・うまくいかなかったことだけでなく、良かったことにも目を向ける
・ひとつの出来事で、自分という人間まで否定していないかを、客観的に見つめ直す
1~2回目(1か月目)
考え方の変化
嫌なことがあったときに、マイナスな考えが続かないように、「嫌なことはポイっとしている」と話されていました。そうすると、「しょうがないな」と少しは頭を切り替えられるようになったそうです。
ただ、会社に連絡することがあった日は、嫌な過去に引っ張られ、ずっと考え込んでいたとのことでした。
生活の変化
何年ぶりかに、7時間眠れた日があったとのことでした。朝起きて、顔を洗うこともできるようになりました。
ただ、食べることで精神状態を保っているご様子は、まだ続いていました。
院長の見立て
ご自身を客観的に見ようとされていましたが、嫌なことがあると、ぐるぐる思考からまだ抜け出しきれずにいました。
一方で、7時間眠れた日があり、朝に顔を洗えるようにもなりました。こうした変化から、睡眠の状態が少しずつ整い、朝のつらさもやわらいできていると考えられます。
3~4回目(2か月目)
考え方の変化
カウンセリングで気持ちを話すうちに、自分が何を考え、どう感じていたのかに気づくことで、「そっか」と納得できることが増え、気持ちが楽になってきたそうです。
会社の同僚から何を言われているかを考えることはあったものの、「考えても仕方ない」と少し思えるようになりました。落ち込む日も少なくなってきたとのことでした。
ただ、まだ波があり、自分ではどうしようもないほどの浮き沈みはあるそうです。
生活の変化
娘さんとランチに行けたり、朝起きて掃除ができたりするようになりました。以前は菓子パンやチョコ、スナック菓子をよく食べていましたが、甘いものをそこまで欲しいとは思わなくなったそうです。
院長の見立て
ご自身を客観的に見られるようになってきたことで、ぐるぐる思考から少しずつ抜け出し、気持ちを落ち着かせられるようになってきたと考えられます。
娘さんとランチに出かけるなど、コミュニケーションも増えてきました。こうした経験が、「家族の問題は自分のせい」と責める気持ちをやわらげるきっかけになればと考えられます。
5~6回目(3か月目)
考え方の変化
以前は周りに合わせることを何より優先していましたが、今は自分を大切にしようと思えるようになったと話されました。
これまでは「ない」ところばかり見ていたけれど、「ある」ところに目を向けると、幸せを感じることもあるそうです。
娘さんとの関わりの変化
娘さんに対して、もっとできることがあったのにという後悔もありましたが、過去は変えられないと受け止め、今は一緒にゆっくり過ごせているとのことでした。
不登校についても話し合い、娘さんもいろいろ考えていることが分かったと話されました。以前は娘さんが落ち込むと一緒に落ち込んでいましたが、今はしっかり支えていこうと思うようになったとのことでした。
娘さんが学校に行く日も、少しずつ増えてきたと話されました。
また、ご本人の調子が悪い日には、娘さんがご飯を作ってくれたと話されました。
ご主人との関わりの変化
以前は、ご主人が何も言わないことを「無関心で嫌だ」と感じていました。今は「嫌なことも言われないので、楽なのかな」と思えるようになり、文句を言わずに朝から夜まで働いてくれることにもありがたさを感じていると話されました。
ご主人への口調を柔らかくし、それまでご主人が自分で用意していた朝食も、この方が温かい朝食を作るようになったとのことでした。そうした中で、娘さんの将来についても、ほんの少しですが、ご夫婦で話せるようになってきたと話されました。
また、ご主人は娘さんとは仲がよく、娘さんを介して夕食の希望なども伝えるようになってきたとのことでした。
生活の変化
以前は口に食べ物を放り込むような食べ方をしていましたが、今は過食をしなくなったとのことでした。
インターネットで検索する言葉も、以前の「助けて」「心が苦しい」から、最近は「自分を取り戻す」に変わったと話されました。
今はとても落ち着いているとのことでした。
院長の見立て
今の自分を受け入れる気持ち(自己受容)が生まれたことで、ご主人への見方が変わり、口調や日々の接し方も変わってきたと考えています。こうした変化が、ご夫婦で少しずつ話せるようになるきっかけになったのではないでしょうか。
相手が自分をどう思うか、どう評価するかは、自分ではコントロールできません。でも、自分の考え方や行動は、見直していくことができます。
「もう何も変わらない」「この先もずっと苦しい」と思っていても、同じ状況が、この先も続くと決まっているわけではありません。自分の考え方や行動が変わることで、今の状況も少しずつ変えていけると、私は信じています。
※通院や服薬に関するご判断は、主治医と相談しながら進めることが大切です。
※経過には個人差があります。
オンラインカウンセリングのご案内
この方と同じオンラインカウンセリングを、ご自宅から受けられます。
どんな考え方のクセが、あなたを苦しめているのかを、院長が客観的にお伝えします。そのうえで、状況が変わらなくても心が楽になるよう、考え方を一緒に見直していきます。
話がまとまっていなくても大丈夫です。こちらから少しずつ伺います。
担当:豊田英一|鍼灸師・神戸大学大学院修了(心理学専攻)
60分・8,000円(税込)
LINEビデオ通話・電話でご相談いただけます。
【このページの作成者】

豊田英一(とよだえいいち)
【国家資格】
・はり師
・きゅう師
・あんまマッサージ指圧師
【学歴】
・神戸大学大学院修士課程修了(心理学専攻)

【認定資格・修了】
・介護予防指導士
・医療リンパドレナージセラピスト
・感覚統合入門講習会応用コース修了
【所属団体】
公益社団法人 全日本鍼灸マッサージ師会
公益社団法人 福岡県鍼灸マッサージ師会
アクセス
JR福間駅から徒歩15分 駐車場:有り 2台