ご相談までの経緯
30代 女性 京都府
適応障害やうつ状態による不調を改善して、早く復職したいと、当院のオンラインカウンセリングをご利用になりました。
3年前に心身の不調で約1年間休職し、復職しました。しかし半年前、再び仕事への不安が強くなり、二度目の休職をしました。不安になると涙が出て、首を締めつけられるような感覚や、眠りの不調もありました。
この方は小学生のころ、担任の先生に救われた経験から、自分も悩んでいる子どもを助けられる教師を目指しました。授業の準備にも力を注ぎ、土日も仕事をしていました。
一方、ご自身のお子さんの保育園のお迎えは、いつも時間ぎりぎりになっていました。帰宅後も翌日の授業の準備に追われ、お子さんとゆっくり話す時間が取れずにいました。
初回の心身の評価
お話から、燃え尽き状態にみられる次の2つの特徴がうかがえました。
①情緒的消耗感
仕事に力を注ぎ続け、心のエネルギーが尽きたように感じる状態です。
この方も、授業の準備や子どもたちへの対応で心身の余裕を失い、涙や不眠も重なって、仕事を続けられなくなっていました。
②個人的達成感の低下
仕事での手応えや、自分の働きへの自信を感じにくくなることです。
この方は、ほかの先生と比べて自信を失い、できていることより、足りないところに目が向いていました。
自分を追い込む考え方
「120%で働いていた」と話すほど無理を重ねていました。
仕事のことを考え続けて脳も休まらず(脳疲労)、物事を見る余裕を失っていたと考えました(心理的視野狭窄)。完璧を求める考え方や白黒思考も強まり、自分を追い込んでいることに気づきにくくなっていました。
子ども一人ひとりの傷つきに目を配り、困っている子がいれば、すぐに自分が何とかしなければと思っていました。ほかの先生が子どもにきつく当たることも受け流せず、自分のクラスの子には、そんな思いをさせたくないと考えていました。
子どもたちのためにという思いが強い一方で、ご自身の健康や家族との時間が後回しになっていました。
カウンセリングの経過
目的と内容
オンラインカウンセリングは、2週間に1回(月2回程度)のペースで行いました。
①価値観を見直す
燃え尽きから回復していくためには、自分にとって本当に大切なものは何かを振り返り、これまでの価値観を見直すことも大切です。
そこで、「教師としてどうあるべきか」から少し離れ、「自分はこれから、何を大切にして生きていきたいか」を一緒に考えました。
子どもたちを大切にする気持ちと同じように、自分の心と体、家族との時間も大切にする。そのために、どこまで頑張り、どこから人に頼るのか、仕事との向き合い方を見直していきました。
②考え方のクセと心の奥の思い込みを見直す
この方には、「自分は能力が低いから、人一倍頑張らなければならない」という思い込み(スキーマ)がありました。ほかの先生と比べたり、完璧にできない自分を責めたりして、無理を重ねていました。
そこで、この思い込みを見直し、今の自分を認め、人に頼ることも受け入れられるよう働きかけました。また、子どもたちの気持ちに寄り添いながらも、つらさまで抱え込まない関わり方を考えていきました。
③考え込みに気づく練習
休職中も、頭の中では学校や復職のことを考え続けていました。体を休めていても考え込みが続き、頭も心も休まらない状態だったと考えます。
そこで、自分の考えを客観的に見る力(メタ認知)を養うため、ぐるぐる考えていることに気づき、目の前のことへ注意を戻す練習を、日常の中で重ねていただきました。
2~3月
考え方の変化
不安なときに「まあ、いっか」と思える場面が出て、自分を責めることも減りました。3月には、ぐるぐる考える時間も減り、頭の切り替えができるようになりました。「ありのままの自分で、このまま元気になっていこう」とも話されていました。
休めたと感じられるようになったのも、このころです。それまでは苦しくても「なんでだろう、なんでだろう」と考え続けていましたが、「立ち止まった気がする。それがよかったのかな」と振り返っていました。
これまで比べていた、同年代で子育てをしながら教え方も仕事の進め方も上手な先生を、お手本にしようと思えるようになりました。
休職中はほかの仕事も探していましたが、学校への不安がなくなり、子どもたちに伝えたいことが増えていきました。「自分が救われたように、子どもたちの役に立ちたい」という思いをいちばんかなえられるのは小学校の教師だと気づき、「続けていきたい」と話されていました。
生活の変化
3月には泣くことはなくなり、食欲も戻って、体も元気になってきました。本の内容も頭に入るようになりました。
地域のバドミントンサークルで欠員が出て頼まれたときは、お子さんの保育園行事と重なっていたため、以前なら引き受けていたところを断り、保育園行事に参加しました。「今までの自分とは違う」と感じたそうです。
院長の見立て
比べていた先生をお手本にできたことも、狭くなっていた視野が広がってきた表れだと考えられます。
「立ち止まった気がする」という言葉からも、ぐるぐる考え続ける状態から抜け出し、自分を客観的に見られるようになってきたことがうかがえます。
また、頼まれごとを断り、お子さんの行事を選べたことには、価値観の変化が表れています。周りの人を優先する「他人軸」から、自分が何を大切にしたいかで選ぶ「自分軸」へ、少しずつ変わってきたと考えられます。
4月
考え方の変化
落ち込むことが減り、マイナスの考えに入り込んでも早く気づいて抜け出せるようになったそうです。
以前は、クラスの子どもたちを一人も取りこぼさないよう、自分が頑張らなければと思っていました。子どもたちへの関わり方についても、子どもたち自身が取り組む力を信じ、必要なときに支えながら見守ることも大切だと考えるようになったそうです。
家庭での変化
家庭でも、きちんとした母親でいなければという思いがありました。
お子さんのお友達が遊びに来ると、以前は、家をきれいにしておかなければ、遊んであげなければと思い、それが負担だったそうです。今は、無理をせず、自然な自分でいることも大事だと思えるようになりました。
夕食作りがつらい日も無理をしていましたが、ピザなどで済ませてよいと考えられるようになりました。
院長の見立て
教師としても母親としても、すべてを自分が背負わなければという考え方がやわらいできたと考えられます。
子どもたちや家族を大切にしながら、自分の疲れや気持ちにも目を向け、今の自分にできる形で関われるようになってきました。「きちんとできない自分はダメだ」と責めず、自然な自分を認められる場面が増えてきたと感じています。
6月
考え方と働き方の変化
6月に復職しました。
復職直後は、帰宅後や夜から翌朝にかけて再び不安が強まり、涙が出ることがありました。翌日の段取りや授業を何度も考え、「ちゃんとできるだろうか」と不安になったり、理想どおりにできない自分にもどかしさを感じたりしていました。
そのような中でも、「学校でも私自身でいよう」と、自然体でいることを意識していました。
次第に、ほかの先生からどう思われるかが気にならなくなり、自分がよいと思う授業にシンプルに取り組めるようになりました。
子どもたちが気持ちよく勉強できる空間をつくりたいと思い、子どもたちのよい変化に充実感を感じているそうです。
一度目の復職では、完璧にしようとすべて自分で抱えていましたが、今回は人にお願いできるようになったと振り返っていました。
力を抜いて働くことに抵抗を感じることもありますが、できないことは仕方ないと考え、「自分ができる範囲で、一生懸命やろう」と思えるようになってきました。
院長の見立て
人に頼れるようになったことは、完璧でなければダメだという考え方がやわらぎ、今の自分を受け入れられるようになってきた表れだと考えられます。
力を抜くことへの抵抗は残っていますが、今の自分にできることを認め、自分なりのやり方で子どもたちに関わろうとされています。
教師になった原点を再確認し、ご家族も大切にしながら仕事を続けていく。価値観を見つめ直し、自分を責めすぎずに働こうと思えるようになったことが、この方の大きな変化だと考えられます。
※経過には個人差があります。
オンラインカウンセリングのご案内
この方と同じオンラインカウンセリングを、ご自宅から受けられます。
どんな考え方のクセが、あなたを苦しめているのかを、院長が客観的にお伝えします。そのうえで、状況が変わらなくても心が楽になるよう、考え方を一緒に見直していきます。
話がまとまっていなくても大丈夫です。こちらから少しずつ伺います。
担当:豊田英一|鍼灸師・神戸大学大学院修了(心理学専攻)
60分・8,000円(税込)
LINEビデオ通話・電話でご相談いただけます。
【このページの作成者】

豊田英一(とよだえいいち)
【国家資格】
・はり師
・きゅう師
・あんまマッサージ指圧師
【学歴】
・神戸大学大学院修士課程修了(心理学専攻)

【認定資格・修了】
・介護予防指導士
・医療リンパドレナージセラピスト
・感覚統合入門講習会応用コース修了
【所属団体】
公益社団法人 全日本鍼灸マッサージ師会
公益社団法人 福岡県鍼灸マッサージ師会
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