顔面神経麻痺を発症された方のお話を伺うと、発症の前に強いストレスを感じていたり、休む間もなく無理を重ねていたりしたケースが非常に多く見受けられます。
「顔の神経の病気なのに、なぜ心(ストレス)が関係するの?」と疑問に思われるかもしれません。今回は、顔面神経麻痺とストレス、そして「自律神経の乱れ」が引き起こす発症と悪化のメカニズムについて、医学的な視点から詳しく紐解いていきます。
なぜストレスで顔が動かなくなるの?発症のメカニズム
顔面神経麻痺(ベル麻痺など)の多くは、体内に潜伏していたウイルスが活発になることで引き起こされます。そして、このウイルスの暴走を許してしまう「免疫力の低下」に大きく関わっているのが、強いストレスによる「自律神経の乱れ」です。
仕事のプレッシャーや人間関係の悩みなど、日常的に強いストレスを受け続けていると、体を緊張させる「交感神経」が常に優位な状態になります。
すると、全身の血管がギューッと収縮して血流が悪くなり、体を守るバリア機能(免疫力)が急激に低下してしまいます。この「ストレスによる免疫低下の隙」を突いて、ウイルスが顔面神経に炎症を起こすのが発症の大きな原因の一つです。
自律神経の乱れが「回復のブレーキ」になる理由
交感神経が優位な状態(ストレス状態)が続くと、発症後も厄介な問題を引き起こします。 血管が収縮しているため、ダメージを受けた顔面神経に「十分な栄養や酸素(血液)」が届きにくくなってしまうのです。
神経の修復には良好な血流が不可欠であるため、ストレスで体が常に「戦闘モード」になっていると、本来持っている回復力がうまく発揮されず、治癒が遅れる原因となります。
症状自体がもたらす「心のストレス」という悪循環
さらに厄介なのは、顔面神経麻痺という症状そのものが、非常に大きな心理的ストレスを生み出すことです。
「鏡を見るのがつらい」「食事がうまくできず、人前を避けてしまう」「このまま治らなかったらどうしよう…」
こうした不安や自己否定的な感情は、「社会に自分の居場所がない」といった孤独感につながりやすくなります。心が追い詰められると、その不安がさらに自律神経を乱し、体の緊張を強めて血流を悪化させるという悪循環に陥ってしまうのです。
自宅でできる!体から心を緩めるセルフケア(筋弛緩法)
顔面神経麻痺の回復には、顔の局所的なケアだけでなく、高ぶった自律神経を鎮め、心身の緊張を解きほぐすことがとても重要になります。
ご自宅でできるケアとして、意識的に筋肉の緊張を緩めるリラクゼーションを取り入れてみてください。
例えば、あえて一度肩にギュッと力を入れてから、ふっと力を抜いて脱力します(筋弛緩法)。これを繰り返すだけでも、こわばった筋肉が緩み、それに連動して「心」の緊張もフワッと軽くなっていきます。
感情をうまくコントロールしようと焦るのではなく、まずは「体」を緩めるアプローチから入るのが自律神経を整えるコツです。
神戸大学大学院で修めた心理学と鍼灸でサポートします
治癒には時間がかかることもあり、焦る気持ちが出てくるのは当然のことです。しかし、どうかご自身を責めないでください。
当院では、鍼灸による直接的な血流改善のアプローチに加え、神戸大学大学院で修めた心理学の専門知識を活かし、心の繊細な揺れ動きにも寄り添いながら施術を行っています。
「今の自分、そのままでいい」。そう思える心と体の状態を取り戻せるよう、焦らず一緒に歩んでいきましょう。
▼当院の顔面神経麻痺へのアプローチ・詳しい施術方針はこちらをご覧ください
https://toyoda-chiryouin.com/syoujyoumenu/facial-nerve-paralysis/
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【このページの作成者】

豊田英一(とよだえいいち)
【国家資格】
・はり師
・きゅう師
・あんまマッサージ指圧師
【学歴】
・神戸大学大学院修士課程修了(心理学専攻)
【認定資格・終了】
・介護予防指導士
・医療リンパドレナージセラピスト
・感覚統合入門講習会応用コース修了
【所属団体】
公益社団法人 全日本鍼灸マッサージ師会
公益社団法人 福岡県鍼灸マッサージ師会
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