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【図解】顔面神経麻痺の急性期のリハビリ・マッサージ

はじめに:顔面神経麻痺の急性期リハビリテーションとは

顔面神経麻痺を発症された直後(急性期)は、突然の症状に大きな不安を抱えられていることと思います。

この時期に最も重要なのは、耳鼻咽喉科などの医療機関で適切な初期治療を速やかに受けることです。医療機関での治療と並行して、ご自宅での正しいリハビリテーション(ストレッチとマッサージ)を行うことが将来的な後遺症の予防に繋がります。

ただし、発症の直後や症状の程度によっては安静が必要な場合もあります。必ず事前に「自宅でマッサージ等のリハビリを始めてもよいか」を主治医(耳鼻咽喉科等の担当医)にご確認の上、開始してください。

ここでは、「顔面神経麻痺診療ガイドライン2023年」に基づいた、ご自宅でできる安全で効果的なストレッチ・マッサージの方法をイラスト付きで解説します。

【急性期リハビリを行う理由】

顔面神経麻痺の回復過程において、何もしないでいると「顔面拘縮(安静時でも顔がこわばり、引きつる状態)」や「病的共同運動(口を動かすと、意図せず目が一緒に閉じてしまう等の症状)」といった厄介な後遺症が残るリスクがあります。

近年の学会報告やガイドラインにおいても、発症直後〜3ヶ月の急性期から正しいリハビリ(マッサージやストレッチ)を行うことが、これらの後遺症を予防・軽減し、回復の質(QOL)を高めるために非常に重要であると提言されています²⁾

絶対に避けるべきこと:無理な「筋力トレーニング」と「低周波治療」

リハビリと聞くと、「一生懸命に顔を動かして筋肉を鍛えなければ」と思われがちですが、これは大きな誤りです。

発症初期から、無理に顔の筋肉を大きく動かそうとしたり(粗大筋力運動)、強い低周波治療器を使用したりすると、「病的共同運動(口を動かすと目が閉じてしまうなどの後遺症)」や、「拘縮(顔の筋肉がこわばって引きつる後遺症)」を悪化させる原因となります²⁾

急性期のリハビリの目的は、筋肉を鍛えることではなく、「血流を良くし、筋肉を柔らかく保つこと」です。決して無理な力を入れず、顔をリラックスさせた状態で行ってください。

実践:後遺症を防ぐ正しいストレッチ&マッサージ

行う前には、蒸しタオルなどで顔全体を温め、血行を良くしておくとより効果的です。回数の目安は、1回約10分程度を、1日3セット行いましょう。

【基本のポイント】
顔に力を入れず、完全にリラックスして行います。

指の腹を使い、皮膚をこすらないように優しく筋肉をほぐします。

痛みを感じるほど強く押さないでください。

顔面神経麻痺急性期におけるリハビリテーション手技の図解(前頭筋・眼輪筋・頬骨筋群への用手アプローチ)。顔面神経麻痺診療ガイドライン2023年版を参考に鍼灸指圧 豊田治療院が作成

1. 前頭筋(おでこ)のストレッチ
眉毛の上から髪の生え際に向かって、指の腹で優しく引き上げるようにマッサージします。額のシワを伸ばすようなイメージで行ってください。

2. 眼輪筋(目のまわり)のストレッチ
目の周りを円を描くように優しくマッサージします。眼球を圧迫しないよう、目の骨のふちに沿って、内側から外側へ向かって優しくほぐします。

3. 頬骨筋群(ほほ)のストレッチ
小鼻の横からこめかみに向かって、頬の筋肉を斜め上に引き上げるように優しくストレッチします。

顔面神経麻痺急性期におけるリハビリテーション手技の図解(頬骨筋群・口輪筋・広頸筋への用手アプローチ)。顔面神経麻痺診療ガイドライン2023年版を参考に鍼灸指圧 豊田治療院が作成

4. 口輪筋(口のまわり)のストレッチ
口の周りを円を描くようにマッサージします。特に口角(唇の端)が下がりやすいため、少し上に持ち上げるように意識して優しくほぐします。

5. 広頸筋(首)のストレッチ
顎の下から鎖骨に向かって、首の前面を優しく撫で下ろすようにマッサージします。首の緊張を和らげることで、顔全体の血流改善にも繋がります。

顔面神経麻痺急性期におけるリハビリテーション手技の図解(頬部に対する口腔内からのアプローチ)。顔面神経麻痺診療ガイドライン2023年版を参考に鍼灸指圧 豊田治療院が作成

6. 頬部(口腔内からのアプローチ)
清潔な手(またはラテックスフリーのグローブ着用)で、健側(麻痺していない側)の親指を口の中に入れます。頬の内側と外側から筋肉を挟むようにし、優しく円を描くようにほぐします。爪で口の中の粘膜を傷つけないよう十分に注意してください。

日常生活での注意点

冷えの防止: 麻痺している側の顔は血行不良になりやすいため、冬場はマフラーで防寒し、夏場はエアコンの冷風が直接当たらないように注意しましょう。

目の保護: 目が完全に閉じられない場合、角膜が乾燥し傷つきやすくなります。外出時はメガネやサングラスでホコリを防ぎ、眼科で処方された点眼薬や眼帯を活用して目を保護してください。


【免責事項・参考文献】
※本記事のリハビリテーション内容は、以下のガイドラインおよび学会報告の知見を参考に、患者様へ分かりやすく図解・解説したものです。必ず耳鼻咽喉科などの医療機関での診断・治療と並行して行ってください。(掲載しているイラストは当院にて独自に作成したものです)

1)日本顔面神経学会「顔面神経麻痺診療ガイドライン」金原出版 2023年
2)森嶋 直人:第125回日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会総会教育講演 末梢性顔面神経麻痺に対するリハビリテーション―急性期・回復期・生活期のリハビリテーション治療―. 日耳鼻 128: 106-112, 2025年

◆当院での鍼灸施術をご検討の方へ◆

「自分で行うマッサージの強さが合っているか不安…」
「人に会いたくない」

顔面神経麻痺は、身体的な症状だけでなく、鏡を見るたびに精神的にも大きなストレスを感じやすい疾患です。

当院では、耳鼻咽喉科での医学的治療を第一とした上で、それを補完するケアを提供しています。

解剖学に基づき、顔面神経の走行や表情筋へ的確にアプローチします。さらに、自律神経を整える「東洋医学」と、脳と顔をつなぐ「神経心理学」を融合させた鍼灸施術をします。

■顔面神経麻痺になると、不安や焦りから、精神的に不安定になりやすいものです。
顔は社会とつながる大切な「自己表現の場」だからこそ、顔の機能改善だけでなく、「心の回復」までをサポートします。

ご自宅でのケアで分からないことがあれば、いつでもご相談ください。

>>当院の顔面神経麻痺へのアプローチと改善事例はこちら

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【このページの作成者】

豊田英一(とよだえいいち)

【国家資格】
・はり師
・きゅう師
・あんまマッサージ指圧師

【学歴】
・神戸大学大学院修士課程修了(心理学専攻)

【認定資格・終了】
介護予防指導士
医療リンパドレナージセラピスト
感覚統合入門講習会応用コース修了

【所属団体】
公益社団法人 全日本鍼灸マッサージ師会
公益社団法人 福岡県鍼灸マッサージ師会 

アクセス

JR福間駅から徒歩15分 駐車場:有り 2台

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