顔面神経麻痺で心身が限界を迎えて療養している最中にも関わらず、「せめて家のことくらいは完璧に『すべき』だ」「1日でも早く復帰『しなければならない』」と、厳しいルールを自分に課して休むことを許せずにいませんか?
心理学では、このように「〜すべきである」「〜しなければならない」という強い基準で自分を縛り付けてしまうことを「すべき思考」と呼びます。顔面神経麻痺の発症背景に深く関わり、療養中の回復を遅らせてしまう考え方のクセです。
限界を超えても休むことを許さなかった「強烈な呪縛」
顔面神経麻痺を発症する方の多くは、元々「人に迷惑をかけてはいけない」「与えられた役割は全うすべきだ」という、非常に高く立派な責任感を持っています。
しかし、過労や人間関係のストレスで心身が悲鳴を上げているのに「私が我慢すべきだ」「休んでいる場合じゃない」と自分にムチを打ち続けた結果、どうなったでしょうか。
交感神経が過剰に働き続けて自律神経のバランスが崩れ、免疫力が著しく低下しました。その結果、抑え込まれていたウイルスが再活性化し、顔面神経に炎症を起こしてしまったと考えられます。
「早く治すべき」という焦りが顔の血流を滞らせる
発症後、この思考のクセは「早く元の顔に戻すべきだ」「こんな顔で人に会うべきではない」という自分への過度なプレッシャーへと形を変えます。
本来なら徹底的に休養し、副交感神経を優位にして神経の修復を待たなければならない時期です。それなのに、「早く治さなければ」と常に自分を監視し、焦燥感に駆られているため、首や肩、顔の筋肉は常に強張ったままです。これでは顔面への血流が阻害され、回復を遅らせる要因となってしまいます。
解剖学の事実から「神経修復のスピード」を理解する
「早く治すべき」という呪縛を解くには、神経が修復される【身体のリアルなルール】を知る必要があります。
解剖学の観点から言えば、ダメージを受けた神経が再生するスピードには「1日に約1ミリ」という物理的な目安があります。いくらご自身が「早く治すべきだ」と焦り、精神力で頑張ろうとしても、神経の伸びるスピードを無理やり早めることは解剖学的に困難なのです。
当院では、この客観的な事実をしっかりとお伝えすることで、「焦っても仕方がない。今は神経が少しずつ育つのを信じて待つ時期なんだ」と、重すぎる『すべき』の荷物を下ろすサポートをいたします。
東洋医学で「休むことを許さない身体の緊張」を和らげる
「すべき」思考に囚われている時、頭では「休みたい」と思っていても、無意識に奥歯を噛み締め、全身に力が入っています。
当院の自律神経専門の鍼灸では、東洋医学の気血の巡りを用いて、この**休むことを許さない身体の過度な緊張を、鍼とお灸の優しい刺激で和らげていきます。
副交感神経が優位になり、全身の筋肉の強ばりがフッと解けると、不思議と「あ、今は何もしなくていいんだ」という深い安心感が湧き上がってきます。 身体が先に「お休みモード」を許可することで、頑なだった心も自然と『すべき』を手放しやすくなるのです。
「休みたいのに休めない」「自分を責めるのをやめられない」と苦しい時は、心と体に「休む許可」を出す当院にご相談ください。
当院の施術例
施術例
過労とストレスが重なった時期に顔面神経麻痺が発症。
過労と強い緊張が重なっていた時期に発症し、耳鼻科での急性期治療を経てご来院。目と口に強い麻痺(柳原法11点)が残り、心身ともに疲労困憊の状態で当院へご相談に来られました。その後、柳原法11点から38点まで回復されました。
来院の経緯
耳鼻科での急性期治療が一段落したタイミングで、当院に来られました。顔面神経麻痺の評価法である柳原法(満点40点)は11点で、目と口にかなり麻痺が残っている状態でした。
口を動かすことが難しかったので、飲食ではかなり苦労されていました。少量を口に含んで麻痺と反対側で噛んだり、ペットボトルで飲むこともできませんでした。
うがいもできずハミガキも困難でした。特に、麻痺側は頬に食べ物が溜まりやすいため、「水圧で洗う口腔洗浄器」を用いていました。
また、右目を閉じることができなかったので、洗顔やシャンプー時の目の痛み、ドライアイにお悩みでした。
発症直前には、子供の病気や親族の介護、新しい仕事で毎日忙しい日々を送り、睡眠不足になっていました。以前から心の不調を抱えて心療内科にも通院されており、日常的に強いストレスと過緊張がありました。
初回来院時のお悩み
- 目と口の動きを早く回復したい
初回来院時の心身の評価
- 心身とも疲労困憊のご様子でした。
- 右閉眼、頬をふくらます、口笛、口をへの字に曲げることができないなど、目と口の動きがほとんどありませんでした。
- 顔面神経麻痺の評価法である柳原法(満点40点)は、11点でした。
- 顔面神経麻痺に関連する生活の質(QOL)を測る「FaCE Scale(フェイス・スケール、満点100点)」は18点でした。
鍼灸施術の経過
施術目的
① 顔面神経と表情筋へのアプローチ
解剖学に基づいて、顔面神経の働きをサポートし表情筋の動きを整えることを目的に、鍼灸施術を行いました。
② 脳の可塑性を活かした機能回復
神経心理学に基づいて、脳が自ら神経回路を作り変える力(脳の可塑性)を引き出し、感覚刺激を通じて顔面の機能回復を促しました。
③ ストレスと自律神経へのアプローチ
顔面神経麻痺は、過労や強い緊張といった長年のストレスによって免疫力が低下し、ウイルスが活性化することが大きな引き金となります1)。
医師からは「ストレスによる免疫力の低下が原因の可能性がある」と言われたそうです。
そのため当院では、ストレスに対する考え方を見直し、自律神経を整えて、睡眠の質を高めることを目的としました。
④ 顔の機能改善と心の回復
また、顔面神経麻痺は、単なる顔の運動障害にとどまらず、強いストレスから「うつ症状」を引き起こしやすいことが報告されています2)。そこで、顔の機能改善だけでなく、「心の回復」までをサポートしました。
1.日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会「顔面神経麻痺ってどんな病気?」
2. 藤原 圭志:リハビリテーションと後遺症に対する治療.Otol Jpn 33 (1): 21-25, 2023 年
施術内容
① 解剖学
顔面神経の走行に沿って鍼を行いました。また、口輪筋や眼輪筋など表情筋の動きを細かく確認しながら鍼を行いました。
② 神経心理学
顔面の感覚入力を行いました。
③ 東洋医学
自律神経を整えるため全身に鍼を行いました。
④ カウンセリング
カウンセリングを重視しました。そして、顔面神経麻痺に関連する生活の質(QOL)を測るために、「FaCE Scale(フェイス・スケール)」を用いました。
当院では、顔の動きという「形」の評価だけでなく、患者様が日常生活で感じている「不便さ」や「不安」を客観的に把握するためにFaCE Scaleを活用しています。
1〜8回目(週2回の来院)
口:空気の漏れが少なくなったとのことでした。
「以前より眠れるようになってきました」とのことでした。
9〜16回目(週2回の来院)
目:洗顔の際、目を押さえなくても水が入りにくくなったとのことでした。
口:ハミガキの際、うがいが少しできるようになったとのことでした。
口:食事の際、口の中の食べかすは気にならなくなったとのことでした。
鼻:力が入るようになったとのことでした。
17〜33回目(週2回の来院)
顔面神経麻痺の評価法である柳原法(満点40点):11点から38点まで回復しました。
顔面神経麻痺に関連する生活の質(QOL)を測るFaCE Scale:18点から83点まで回復しました。
目:目を閉じることができるようになったので、シャンプーや洗顔の際、目に水が全く入らなくなったとのことでした。
口:うがいをしても水が漏れなくなったとのことでした。
口:ストローでもペットボトルでも飲めるようになったとのことでした。
顔:発症してから右頬が冷たかったが、左右とも同じくらいの温度になったとのことでした。
「見た目がほとんど気にならなくなって嬉しい」とのことでした。
「大変なことはたくさんあるけど、気づいたら「まあ、いっか」と言っていて、深く考えて落ち込まないようになりました」とのことでした。
※施術の効果や回復には個人差があります。
施術例
「顔を見られたくない」
1年以上残る顔面神経麻痺の後遺症
「顔を見られたくない」と眼鏡やアイプチで必死に隠す日々に。病院の治療後も長引く顔面神経麻痺の後遺症でご相談に来られました。その後、柳原法16点から37点まで回復されました。
来院までの経緯
1年前に右側の顔面神経麻痺を発症し、病院の治療を半年間受けられました。
病院での治療終了後も、お顔の動かしにくさなどの不調が長引いており、当院にご相談にいらっしゃいました。そのため、その後半年間、福岡市の別の施設に通われましたが、症状の変化を感じにくく、当院に来院されました。
右側の口が閉じにくく、滑舌が悪く話しにくさがありました。また、食事の際には、食べ物や飲み物がこぼれやすい状態でした。
また、「口を横に開けると目が勝手に閉じてしまう」といった、意図しない動き(共同運動)も出ていました。
右目をしっかり閉じることが難しく、まばたきがうまくできませんでした。そのため、涙が出やすい状態でした。洗髪の際には、シャンプーが目に入ると痛みがあるため、目元を押さえながら髪を洗っておられました。
特に鏡を見るたびに左右の眉の高さの違いが気になり、外出時は眼鏡とメイクで必死に隠していました。また、元々二重でしたが、一重になって目が小さく見えることも気になり、アイプチも使用されていました。
初回来院時のお悩み
- 眼鏡とマスクをしなければ外出できない
- 案内業務なので、滑舌を良くしたい
- 涙がでるので、車の運転がしにくい
- 食べ物がこぼれるので恥ずかしくて外食できない
- 右側の顔がつっぱる感じがする
初回来院時の心身の評価
「人からどう見られるか」が気になり、顔を見られるのが怖くてたまらないご様子でした。
口と目の共同運動もみられました。
強い閉眼、片目つぶり、口笛、頬をふくらます、口のへの字に曲げるができませんでした。
顔面神経麻痺の評価に用いられる柳原法(満点40)は16点でした。
顔面神経麻痺になってから、肩こりが酷くなりました。
鍼灸施術の経過
施術目的
解剖学に基づいて、顔面神経の働きをサポートし表情筋の動きを整えること。さらに東洋医学的視点から全身を調整して、回復しやすい状態を作ることを目的に、鍼灸施術を行いました。
施術内容
① 顔面神経の走行を意識した鍼灸施術
顔面神経の走行を意識しながら、鍼を行いました。
② 表情筋への鍼灸施術
眼輪筋、口輪筋、頬筋、頬骨筋に萎縮がみられたため、これらの部位に重点的に鍼を行いました。
③ 自律神経を整える全身への鍼灸施術
また、顔面部だけでなく、自律神経を整えるための全身への鍼も行いました。
1〜8回目(週2回の来院)
眼:黒目の見える範囲が少し広がり、「まぶたが上がった感じがする」とのことでした。
口:「口が少し動き出した感じがする」とのことでした。
肩:「肩こりが軽くなりました」。
「施術を重ねる中で変化が実感できた」と話されました。
9〜20回目(週2回の来院)
眼:二重が戻り、黒目の見える範囲も以前と同じくらいになり、「久しぶりにアイプチをしないで外出しました」と笑顔が見られました。
眼:しっかりと目を閉じることができるようになり、涙が出なくなりました。また、シャンプーを流す際も、水が目に入りにくくなりました。
口:食べ物をこぼすことがなくなりました。
口:口をふくらませても、息が漏れなくなりました。
額:額のしわも、くっきり作れるようになりました。
顔:顔のつっぱり感が気にならなくなりました。
21〜25回目(週2回の来院)
眉:左右の眉の位置がそろい、「1年ぶりに眼鏡をかけずに過ごせるようになりました」とのことでした。
眼:口を動かした際にみられていた、目の共同運動が軽くなりました。
口:話しやすさが戻り、「以前と同じくらい話せる」とのことでした。
柳原法は37点まで回復しました。
現在
これまで離れていたアナウンスの業務に復帰することができました。
ストレスの影響で体調を崩さないように、現在も月1回のペースで来院されています。
※施術の効果や回復には個人差があります。
施術例
「顔を見られたくない」
1年以上残る顔面神経麻痺の後遺症
「顔を見られたくない」と眼鏡やアイプチで必死に隠す日々に。病院の治療後も長引く顔面神経麻痺の後遺症でご相談に来られました。その後、柳原法16点から37点まで回復されました。
来院までの経緯
1年前に右側の顔面神経麻痺を発症し、病院の治療を半年間受けられました。
病院での治療終了後も、お顔の動かしにくさなどの不調が長引いており、当院にご相談にいらっしゃいました。そのため、その後半年間、福岡市の別の施設に通われましたが、症状の変化を感じにくく、当院に来院されました。
右側の口が閉じにくく、滑舌が悪く話しにくさがありました。また、食事の際には、食べ物や飲み物がこぼれやすい状態でした。
また、「口を横に開けると目が勝手に閉じてしまう」といった、意図しない動き(共同運動)も出ていました。
右目をしっかり閉じることが難しく、まばたきがうまくできませんでした。そのため、涙が出やすい状態でした。洗髪の際には、シャンプーが目に入ると痛みがあるため、目元を押さえながら髪を洗っておられました。
特に鏡を見るたびに左右の眉の高さの違いが気になり、外出時は眼鏡とメイクで必死に隠していました。また、元々二重でしたが、一重になって目が小さく見えることも気になり、アイプチも使用されていました。
初回来院時のお悩み
- 眼鏡とマスクをしなければ外出できない
- 案内業務なので、滑舌を良くしたい
- 涙がでるので、車の運転がしにくい
- 食べ物がこぼれるので恥ずかしくて外食できない
- 右側の顔がつっぱる感じがする
初回来院時の心身の評価
「人からどう見られるか」が気になり、顔を見られるのが怖くてたまらないご様子でした。
口と目の共同運動もみられました。
強い閉眼、片目つぶり、口笛、頬をふくらます、口のへの字に曲げるができませんでした。
顔面神経麻痺の評価に用いられる柳原法(満点40)は16点でした。
顔面神経麻痺になってから、肩こりが酷くなりました。
鍼灸施術の経過
施術目的
解剖学に基づいて、顔面神経の働きをサポートし表情筋の動きを整えること。さらに東洋医学的視点から全身を調整して、回復しやすい状態を作ることを目的に、鍼灸施術を行いました。
施術内容
① 顔面神経の走行を意識した鍼灸施術
顔面神経の走行を意識しながら、鍼を行いました。
② 表情筋への鍼灸施術
眼輪筋、口輪筋、頬筋、頬骨筋に萎縮がみられたため、これらの部位に重点的に鍼を行いました。
③ 自律神経を整える全身への鍼灸施術
また、顔面部だけでなく、自律神経を整えるための全身への鍼も行いました。
1〜8回目(週2回の来院)
眼:黒目の見える範囲が少し広がり、「まぶたが上がった感じがする」とのことでした。
口:「口が少し動き出した感じがする」とのことでした。
肩:「肩こりが軽くなりました」。
「施術を重ねる中で変化が実感できた」と話されました。
9〜20回目(週2回の来院)
眼:二重が戻り、黒目の見える範囲も以前と同じくらいになり、「久しぶりにアイプチをしないで外出しました」と笑顔が見られました。
眼:しっかりと目を閉じることができるようになり、涙が出なくなりました。また、シャンプーを流す際も、水が目に入りにくくなりました。
口:食べ物をこぼすことがなくなりました。
口:口をふくらませても、息が漏れなくなりました。
額:額のしわも、くっきり作れるようになりました。
顔:顔のつっぱり感が気にならなくなりました。
21〜25回目(週2回の来院)
眉:左右の眉の位置がそろい、「1年ぶりに眼鏡をかけずに過ごせるようになりました」とのことでした。
眼:口を動かした際にみられていた、目の共同運動が軽くなりました。
口:話しやすさが戻り、「以前と同じくらい話せる」とのことでした。
柳原法は37点まで回復しました。
現在
これまで離れていたアナウンスの業務に復帰することができました。
ストレスの影響で体調を崩さないように、現在も月1回のペースで来院されています。
※施術の効果や回復には個人差があります。
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【このページの作成者】

豊田英一(とよだえいいち)
【国家資格】
・はり師
・きゅう師
・あんまマッサージ指圧師
【学歴】
・神戸大学大学院修士課程修了(心理学専攻)
【認定資格・修了】
・介護予防指導士
・医療リンパドレナージセラピスト
・感覚統合入門講習会応用コース修了
【所属団体】
公益社団法人 全日本鍼灸マッサージ師会
公益社団法人 福岡県鍼灸マッサージ師会
アクセス
JR福間駅から徒歩15分 駐車場:有り 2台