自分の失敗ばかりが大きく見えて、これまでの努力やうまくいったことは、ちっぽけなものに感じてしまう。そんなことはありませんか?
心理学(認知行動療法)では、このような考え方のクセを「拡大解釈と過小評価」と呼びます。
自分を下げる「心の双眼鏡」を覗いていませんか?
双眼鏡は、ふつうに覗けば物が大きく見え、逆さに覗けば小さく見えます。拡大解釈と過小評価とは、自分の失敗や短所はふつうの向きで、努力や長所は逆さの向きで、双眼鏡を覗いてしまうことです。
たとえば、「たった1回のミス」を「取り返しのつかない大失敗」と思って悩み続ける一方で、「10年間、無遅刻で働いてきたこと」は「社会人として当たり前」と片づけてしまいます。
これでは、どんなに頑張っても心にエネルギーがたまらず、うつ病の回復が遅れてしまいます。
【心理学】失敗も努力も「実際の大きさ」で見る
そこで心理療法では、視点を変える練習を行います。
ステップ①:「ダブルスタンダード(二重基準)」に気づく
自分の失敗で苦しいときは、「もし大切な友人がまったく同じミスをしたら、今、自分を責めているのと同じように、その友人を責めるだろうか?」と問いかけてみてください。
自分には厳しく、友人にはやさしい。この基準の違いに気づくことが、双眼鏡を下ろす第一歩です。
ステップ②:友人にかける言葉を自分にかける
友人になら、「誰にでもミスはあるよ」「今までよく頑張ってきたじゃない」と声をかけられます。その言葉を、そのまま自分にもかけてみてください。
心理学では、友人を思いやるように自分を思いやることを「セルフ・コンパッション」と呼びます。
ステップ③:第三者の視点で「事実」を再評価する
最後は、小さく見てしまっていた努力のほうです。「当たり前だ」と片づけていたことを、他人のことのように見つめ直します。
たとえば、「10年間、無遅刻で働いてきたことは、誰が見ても十分に評価できる事実だ」と認め直します。
心身に少し余裕があるときに、この練習を重ねることが、自分への厳しすぎる見方を和らげ、心に回復のエネルギーをためていく確実な一歩になります。
※うつ病の治療や服薬は自己判断せず、必ず主治医にご相談ください。当院は医療機関と並行して心身の回復をサポートします。
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担当:豊田英一|鍼灸師・神戸大学大学院修了(心理学専攻)
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ご来院いただける方へ
心理学と鍼灸の両面から心と体の回復を支える、当院のうつ病施術についてご覧ください。
当院の施術例
うつ病につながりやすい考え方のクセ(認知の歪み)が影響しているケースや、その他のうつ病の施術例も併せてご参考になさってください。
オンラインカウンセリング
小学校教員の燃え尽き症候群|オンラインカウンセリング症例
適応障害やうつ状態による不調を改善して、早く復職したいと、当院のオンラインカウンセリングをご利用になりました。
ご相談までの経緯
30代 女性 京都府
適応障害やうつ状態による不調を改善して、早く復職したいと、当院のオンラインカウンセリングをご利用になりました。
3年前に心身の不調で約1年間休職し、復職しました。しかし半年前、再び仕事への不安が強くなり、二度目の休職をしました。不安になると涙が出て、首を締めつけられるような感覚や、眠りの不調もありました。
この方は小学生のころ、担任の先生に救われた経験から、自分も悩んでいる子どもを助けられる教師を目指しました。授業の準備にも力を注ぎ、土日も仕事をしていました。
一方、ご自身のお子さんの保育園のお迎えは、いつも時間ぎりぎりになっていました。帰宅後も翌日の授業の準備に追われ、お子さんとゆっくり話す時間が取れずにいました。
初回の心身の評価
お話から、燃え尽き状態にみられる次の2つの特徴がうかがえました。
①情緒的消耗感
仕事に力を注ぎ続け、心のエネルギーが尽きたように感じる状態です。
この方も、授業の準備や子どもたちへの対応で心身の余裕を失い、涙や不眠も重なって、仕事を続けられなくなっていました。
②個人的達成感の低下
仕事での手応えや、自分の働きへの自信を感じにくくなることです。
この方は、ほかの先生と比べて自信を失い、できていることより、足りないところに目が向いていました。
自分を追い込む考え方
「120%で働いていた」と話すほど無理を重ねていました。
仕事のことを考え続けて脳も休まらず(脳疲労)、物事を見る余裕を失っていたと考えました(心理的視野狭窄)。完璧を求める考え方や白黒思考も強まり、自分を追い込んでいることに気づきにくくなっていました。
子ども一人ひとりの傷つきに目を配り、困っている子がいれば、すぐに自分が何とかしなければと思っていました。ほかの先生が子どもにきつく当たることも受け流せず、自分のクラスの子には、そんな思いをさせたくないと考えていました。
子どもたちのためにという思いが強い一方で、ご自身の健康や家族との時間が後回しになっていました。
カウンセリングの経過
目的と内容
オンラインカウンセリングは、2週間に1回(月2回程度)のペースで行いました。
①価値観を見直す
燃え尽きから回復していくためには、自分にとって本当に大切なものは何かを振り返り、これまでの価値観を見直すことも大切です。
そこで、「教師としてどうあるべきか」から少し離れ、「自分はこれから、何を大切にして生きていきたいか」を一緒に考えました。
子どもたちを大切にする気持ちと同じように、自分の心と体、家族との時間も大切にする。そのために、どこまで頑張り、どこから人に頼るのか、仕事との向き合い方を見直していきました。
②考え方のクセと心の奥の思い込みを見直す
この方には、「自分は能力が低いから、人一倍頑張らなければならない」という思い込み(スキーマ)がありました。ほかの先生と比べたり、完璧にできない自分を責めたりして、無理を重ねていました。
そこで、この思い込みを見直し、今の自分を認め、人に頼ることも受け入れられるよう働きかけました。また、子どもたちの気持ちに寄り添いながらも、つらさまで抱え込まない関わり方を考えていきました。
③考え込みに気づく練習
休職中も、頭の中では学校や復職のことを考え続けていました。体を休めていても考え込みが続き、頭も心も休まらない状態だったと考えます。
そこで、自分の考えを客観的に見る力(メタ認知)を養うため、ぐるぐる考えていることに気づき、目の前のことへ注意を戻す練習を、日常の中で重ねていただきました。
2~3月
考え方の変化
不安なときに「まあ、いっか」と思える場面が出て、自分を責めることも減りました。3月には、ぐるぐる考える時間も減り、頭の切り替えができるようになりました。「ありのままの自分で、このまま元気になっていこう」とも話されていました。
休めたと感じられるようになったのも、このころです。それまでは苦しくても「なんでだろう、なんでだろう」と考え続けていましたが、「立ち止まった気がする。それがよかったのかな」と振り返っていました。
これまで比べていた、同年代で子育てをしながら教え方も仕事の進め方も上手な先生を、お手本にしようと思えるようになりました。
休職中はほかの仕事も探していましたが、学校への不安がなくなり、子どもたちに伝えたいことが増えていきました。「自分が救われたように、子どもたちの役に立ちたい」という思いをいちばんかなえられるのは小学校の教師だと気づき、「続けていきたい」と話されていました。
生活の変化
3月には泣くことはなくなり、食欲も戻って、体も元気になってきました。本の内容も頭に入るようになりました。
地域のバドミントンサークルで欠員が出て頼まれたときは、お子さんの保育園行事と重なっていたため、以前なら引き受けていたところを断り、保育園行事に参加しました。「今までの自分とは違う」と感じたそうです。
院長の見立て
比べていた先生をお手本にできたことも、狭くなっていた視野が広がってきた表れだと考えられます。
「立ち止まった気がする」という言葉からも、ぐるぐる考え続ける状態から抜け出し、自分を客観的に見られるようになってきたことがうかがえます。
また、頼まれごとを断り、お子さんの行事を選べたことには、価値観の変化が表れています。周りの人を優先する「他人軸」から、自分が何を大切にしたいかで選ぶ「自分軸」へ、少しずつ変わってきたと考えられます。
4月
考え方の変化
落ち込むことが減り、マイナスの考えに入り込んでも早く気づいて抜け出せるようになったそうです。
以前は、クラスの子どもたちを一人も取りこぼさないよう、自分が頑張らなければと思っていました。子どもたちへの関わり方についても、子どもたち自身が取り組む力を信じ、必要なときに支えながら見守ることも大切だと考えるようになったそうです。
家庭での変化
家庭でも、きちんとした母親でいなければという思いがありました。
お子さんのお友達が遊びに来ると、以前は、家をきれいにしておかなければ、遊んであげなければと思い、それが負担だったそうです。今は、無理をせず、自然な自分でいることも大事だと思えるようになりました。
夕食作りがつらい日も無理をしていましたが、ピザなどで済ませてよいと考えられるようになりました。
院長の見立て
教師としても母親としても、すべてを自分が背負わなければという考え方がやわらいできたと考えられます。
子どもたちや家族を大切にしながら、自分の疲れや気持ちにも目を向け、今の自分にできる形で関われるようになってきました。「きちんとできない自分はダメだ」と責めず、自然な自分を認められる場面が増えてきたと感じています。
6月
考え方と働き方の変化
6月に復職しました。
復職直後は、帰宅後や夜から翌朝にかけて再び不安が強まり、涙が出ることがありました。翌日の段取りや授業を何度も考え、「ちゃんとできるだろうか」と不安になったり、理想どおりにできない自分にもどかしさを感じたりしていました。
そのような中でも、「学校でも私自身でいよう」と、自然体でいることを意識していました。
次第に、ほかの先生からどう思われるかが気にならなくなり、自分がよいと思う授業にシンプルに取り組めるようになりました。
子どもたちが気持ちよく勉強できる空間をつくりたいと思い、子どもたちのよい変化に充実感を感じているそうです。
一度目の復職では、完璧にしようとすべて自分で抱えていましたが、今回は人にお願いできるようになったと振り返っていました。
力を抜いて働くことに抵抗を感じることもありますが、できないことは仕方ないと考え、「自分ができる範囲で、一生懸命やろう」と思えるようになってきました。
院長の見立て
人に頼れるようになったことは、完璧でなければダメだという考え方がやわらぎ、今の自分を受け入れられるようになってきた表れだと考えられます。
力を抜くことへの抵抗は残っていますが、今の自分にできることを認め、自分なりのやり方で子どもたちに関わろうとされています。
教師になった原点を再確認し、ご家族も大切にしながら仕事を続けていく。価値観を見つめ直し、自分を責めすぎずに働こうと思えるようになったことが、この方の大きな変化だと考えられます。
※経過には個人差があります。
オンラインカウンセリング
「すべて自分が悪い」と責めていた女性
休職後、着替えや歯磨きもできず、過去の出来事を何度も思い返しては、自分を責めていました。「落ち込む考え方を変えたい」と、オンラインカウンセリングをご利用になりました。
来院までの経緯
30代 女性 東京都
双極性障害と診断され、心療内科に通院していましたが、3か月前に会社を休職しました。すべてにおいてやる気が起きず、特に朝がつらく、着替えや歯磨きもできない状態でした。
ストレスが溜まると菓子パンなどを過食してしまい、「食べることで精神状態を保っている」とおっしゃっていました。
数年前から、「私は何で苦しいのだろう、悲しいのだろう」と思っていました。
ご本人のお話では、ご主人には自閉スペクトラム症の特性があるとのことでした。夫婦の会話はほとんどなく、娘さんの不登校についても相談できずにいました。
学校の先生やソーシャルワーカーへの相談、親の会への参加など、ひとりで頑張っていました。「カサンドラ症候群なんだろうと思います」とおっしゃっていました。
過去にご主人から言われたことや、仕事でのミスを何度も思い返しては、そのたびに落ち込んでいました。そして、「家族の問題は、すべて自分のせい」と自分を責めていました。
「落ち込む考え方を変えたい」と、当院のオンラインカウンセリングをご利用になりました。
初回の心身の評価
- 「すべて自分が悪い」という考え方のクセがみられました。
- 同じことを何度も考えるぐるぐる思考(反芻思考)がありました。
カウンセリングの経過
目的と内容
①考え方のクセを見直す
「家族の問題は、すべて自分のせいだ」のように、うまくいかないことがあると、原因はすべて自分にあると考えてしまいます。
こうした考え方のクセは、心理学で「認知の歪み」と呼ばれます。自分を責めることで、苦しさが強まってしまいます。
このクセの背景には、「自分はダメだ」「自分は能力が低い」と、心の奥に自分を否定する思い込みが隠れていることがあります。
この自己否定的な思い込みがやわらぐと、「すべて自分が悪い」という、自分を苦しめる考え方が変わってきます。
そのためには、自分が何を考え、物事をどう受け止めているのかを、客観的に見ることが大切です。
そこで、カウンセリングでは、考え方のクセだけでなく、心の奥の思い込みも見直していきました。
②心理ワーク
カウンセリングのない日にも、自分の考えに気づき、見つめ直せるように、次のような心理ワークに取り組んでいただきました。
- 同じことをくり返し考えてしまうときに、その考えへの執着をゆるめる
- うまくいかなかったことだけでなく、良かったことにも目を向ける
- ひとつの出来事で、自分という人間まで否定していないかを、客観的に見つめ直す
1~2回目(1か月目)
考え方の変化
嫌なことがあったときに、マイナスな考えが続かないように、「嫌なことはポイっとしている」と話されていました。そうすると、「しょうがないな」と少しは頭を切り替えられるようになったそうです。
ただ、会社に連絡することがあった日は、嫌な過去に引っ張られ、ずっと考え込んでいたとのことでした。
生活の変化
何年ぶりかに、7時間眠れた日があったとのことでした。朝起きて、顔を洗うこともできるようになりました。
ただ、食べることで精神状態を保っているご様子は、まだ続いていました。
院長の見立て
ご自身を客観的に見ようとされていましたが、嫌なことがあると、ぐるぐる思考からまだ抜け出しきれずにいました。
一方で、7時間眠れた日があり、朝に顔を洗えるようにもなりました。こうした変化から、睡眠の状態が少しずつ整い、朝のつらさもやわらいできていると考えています。
3~4回目(2か月目)
考え方の変化
カウンセリングで気持ちを話すうちに、自分が何を考え、どう感じていたのかに気づくことで、「そっか」と納得できることが増え、気持ちが楽になってきたそうです。
会社の同僚から何を言われているかを考えることはあったものの、「考えても仕方ない」と少し思えるようになりました。落ち込む日も少なくなってきたとのことでした。
ただ、まだ波があり、自分ではどうしようもないほどの浮き沈みはあるそうです。
生活の変化
娘さんとランチに行けたり、朝起きて掃除ができたりするようになりました。以前は菓子パンやチョコ、スナック菓子をよく食べていましたが、甘いものをそこまで欲しいとは思わなくなったそうです。
院長の見立て
ご自身を客観的に見られるようになってきたことで、ぐるぐる思考から少しずつ抜け出し、気持ちを落ち着かせられるようになってきたと考えています。
娘さんとランチに出かけるなど、コミュニケーションも増えてきました。こうした経験が、「家族の問題は自分のせい」と責める気持ちをやわらげるきっかけになればと考えています。
5~6回目(3か月目)
考え方の変化
以前は周りに合わせることを何より優先していましたが、今は自分を大切にしようと思えるようになったと話されました。
これまでは「ない」ところばかり見ていたけれど、「ある」ところを見ると幸せだと思えるとのことでした。
娘さんとの関わりの変化
娘さんに対して、もっとできることがあったのにという後悔もありましたが、過去は変えられないと受け止め、今は一緒にゆっくり過ごせているとのことでした。
不登校についても話し合い、娘さんもいろいろ考えていることが分かったと話されました。以前は娘さんが落ち込むと一緒に落ち込んでいましたが、今はしっかり支えていこうと思うようになったとのことでした。
娘さんが学校に行く日も、少しずつ増えてきたと話されました。
また、ご本人の調子が悪い日には、娘さんがご飯を作ってくれたと話されました。
ご主人との関わりの変化
以前は、ご主人が何も言わないことを「無関心で嫌だ」と感じていました。今は「嫌なことも言われず、楽なのかな」と思えるようになり、文句を言わずに働いてくれることにもありがたさを感じていると話されました。
ご主人への口調を柔らかくし、それまでご主人が自分で用意していた朝食も、この方が温かい朝食を作るようになったとのことでした。そうした中で、娘さんの将来についても、ほんの少しですが、ご夫婦で話せるようになってきたと話されました。
また、ご主人は娘さんとは仲がよく、娘さんを介して夕食の希望なども伝えるようになってきたとのことでした。
生活の変化
以前は口に食べ物を放り込むような食べ方をしていましたが、今は過食をしなくなったとのことでした。
インターネットで検索する言葉も、以前の「助けて」「心が苦しい」から、最近は「自分を取り戻す」に変わったと話されました。
今はとても落ち着いているとのことでした。
院長の見立て
今の自分を受け入れる気持ち(自己受容)が生まれたことで、ご主人への見方が変わり、口調や日々の接し方も変わってきたと考えています。こうした変化が、ご夫婦で少しずつ話せるようになるきっかけになったのではないでしょうか。
相手が自分をどう思うか、どう評価するかは、自分ではコントロールできません。でも、自分の考え方や行動は、見直していくことができます。
「もう何も変わらない」「この先もずっと苦しい」と思っていても、同じ状況が、この先も続くと決まっているわけではありません。自分の考え方や行動が変わることで、今の状況も少しずつ変えていけると、私は信じています。
※通院や服薬に関するご判断は、主治医と相談しながら進めることが大切です。
※経過には個人差があります。
施術例
「自分には何もない」
自分の価値を見失い、うつ症状に苦しんだ日々
病院で異常なし。「自分には何もない」という自己喪失感から、朝の激しい吐き気や震え、強い不安感に悩まれてのご相談です。
来院までの経緯
2カ月前から、急に身体と心に不快な症状が現れるようになりました。毎朝、吐き気がひどく、食べる気力がなくなり、体重が大幅に減りました。
1日に数回、強い不安感に襲われ、動悸が激しくなり、手が震えて止まらない状態でした。肩から胸にかけてぞわぞわした感じがして、足の力が入らなくなることもありました。ネガティブなことや自己否定的な考えにとらわれ、気持ちが沈んでいきました。
毎日、「あれもしなければならない、これもしなければならない」と焦りはあるものの、体が重くてなかなか行動に移せず、常にイライラしていました。
最初は単なる疲れだと思っていたようですが、病院を受診しても大きな異常は見つからず、「少しでも楽になりたい」と思い、当院にご来院くださいました。
初回来院時のお悩み
① 不安感が解消できない
不安感が日常的に強く、どうしても解消できないことに苦しんでいました。
② ネガティブな思考が頭から離れない
ネガティブな思考が頭から離れず、何とか振り払いたいという思いが強くありました。
③ 朝の吐き気や倦怠感が強い
朝の吐き気や倦怠感がひどく、身体が重く感じられることで、日々の生活に支障をきたしていました。
初回来院時の心身の評価
① 自己喪失感が強い状態でした
「本当の自分が分からない」といった内容を繰り返し話されていました。自分の存在に対する確信を持てず、自己喪失感(アイデンティティの危機)で苦しんでいるご様子でした。
② 自己価値感の低下が強くうかがえました
「仕事をしていない」「子供がいない」「自分には何もない」と、欠落感に焦点を当てて話されていました。自己価値感の低下が強くうかがえました。
③ 自己否定感と焦りがみられました
自己否定感が強く、常に何かに焦っている様子がありました。その焦りが無意識に心身へ負担をかけていると推測されました。
④ 東洋医学的には「陰虚タイプ」の傾向がみられました
東洋医学的には「陰虚タイプ」の傾向がみられ、過度のストレスや疲労によって身体の潤いが不足しやすい状態でした。このような状態は心身の不調につながる要因の一つになり得ます。
⑤ 抑え込まれていた怒りが出やすい状態でした
感情面では、抑え込まれていた「怒り」が強く出やすい状態がみられ、それが自己否定感や焦りと結びついている可能性がありました。
鍼灸施術の経過
施術目的
施術の目的は、「本当の自分がわからない」「自分の価値を見失っている」といった自己喪失感を和らげていくことでした。
こうした状態では、生きる意味や自分の価値が揺らぎ、日々の生活や将来に対する不安が強くなることがあります。
そのため、自己受容を高め、「今の自分でいい」と実感できる感覚を育てていくことを目指して施術を行いました。
自分を受け入れ、現状の自分にも価値があると感じられるようになることで、内面的な安定感が育ち、心身の不調も落ち着きやすくなります。
さらに、「残りの人生をどのように生きていくか」を少しずつ整理し、焦りや不安感を和らげながら、方向性を見つけていくことも重視しました。
施術内容
① 自律神経のバランスを整える鍼灸施術
心身の緊張を和らげ、落ち着きを取り戻しやすくすることを目的に鍼灸施術を行いました。
② アイデンティティの再構築と自己受容感を高めるカウンセリング
「自分の価値を見失っている」という感覚に対して、捉え方を整理し、現在の自分を受容的に捉えられるようサポートしました。
③ 感情の波を整えるセルフケア
焦りや自己否定感が強くなったときに、落ち着きを取り戻すためのセルフケアをお伝えしました。
1~4回目(週1回の来院)
施術を始めてから、徐々に変化が見られました。朝の吐き気が少し和らぎ、食欲も戻ってきたとのことでした。
夜間の睡眠も少しずつ深くなり、以前より休養感が得られるようになってきたとのことでした。
一方で、不安感やイライラ感はまだ残り、情緒が不安定な状態が続いていたため、心のケアも引き続き重視しました。焦らず少しずつ自己肯定感を育て、感情の波に対処できる力を整えていくことを大切にしました。
5~8回目(週1回の来院)
施術を続ける中で、頭が軽くなり、ネガティブな考えが以前より少なくなってきたとのことでした。
朝から動きやすい日が増え、身体面のエネルギーが回復してきている感覚も出てきたとのことでした。
また、新しいことに挑戦したいという前向きな気持ちが強くなってきたご様子でした。ただ、「本当にできるだろうか」と不安が出る場面もありましたが、回復の過程として自然な反応であるため、少しずつ自信につなげていけるようサポートを続けました。
9~10回目(月2回の来院)
自律神経症状は全体として落ち着き、不安な気持ちが湧いたときも、プールで身体を動かすことで和らぎやすくなったとのことでした。心身のバランスが整ってきたご様子でした。
また、以前は「自分には何もない」と感じていたところが、今では「そんな自分でいい」と思える場面が増え、落ち込みが続くことが減ってきたご様子でした。
自己受容が進み、自分を大切にする感覚が育ったことで、心の安定につながっている様子がうかがえました。
現在
メンテナンスのため、月に1回のペースで来院。
英語の教師や通訳をしていた経験を活かし、翻訳の仕事につなげるために通信講座で勉強中です。
※通院に関するご判断は、主治医と相談しながら進めることが大切です。
※経過には個人差があります。
【心理学】うつ病になりやすい考え方とは?
ここで紹介する考え方のクセは、うつ病になりやすくするだけでなく、回復も妨げてしまいます。
▶「完璧じゃない自分は無価値」うつ病の回復を妨げる「白黒思考」
▶「悪いことしか起きない」うつ病の回復を妨げる「心のフィルター」
▶「お世辞に違いない」うつ病の回復を妨げる「マイナス化思考」
▶「迷惑だと思われている」うつ病の回復を妨げる「心の読みすぎ」
▶「どうせうまくいかない」うつ病の回復を妨げる「先読みの誤り」
【このページの作成者】

豊田英一(とよだえいいち)
【国家資格】
・はり師
・きゅう師
・あんまマッサージ指圧師
【学歴】
・神戸大学大学院修士課程修了(心理学専攻)
【著書】
「考え方を変えたいのに、変えられない」
【認定資格・修了】
・介護予防指導士
・医療リンパドレナージセラピスト
・感覚統合入門講習会応用コース修了
【所属団体】
公益社団法人 全日本鍼灸マッサージ師会
公益社団法人 福岡県鍼灸マッサージ師会
アクセス
JR福間駅から徒歩15分 駐車場:有り 2台
