転職をきっかけに、半年前からめまいが続き、最近では右胸に息ができないほどの強い痛みが出るようになりました。
ひどいときには、うずくまって動けないほどの激痛が半日以上続き、週に1〜2回は痛みのために会社を休まざるを得ない状態でした。
「また仕事に行けなくなるかもしれない」という不安が強くなると、痛みはさらに悪化しました。
大学病院でMRIやCTなどの検査を受けましたが、特に異常は見つかりませんでした。
「原因が分からずとても不安。これ以上職場に迷惑をかけたくない」という思いから、当院のホームページをご覧になり、来院されました。
・痛みをなんとかしてほしい
・2時間おきに目が覚める
・不安なく仕事をしたい
・職場に迷惑をかけたくない
・痛みに対して不安や恐怖が強くなるほど、痛みが悪化しました
・考え方のクセとして、「全て自分が悪い」「きちんとできない自分が悪い」と必要以上に自分を責める傾向がみられました
・東洋医学的には「陰虚タイプ」で、ストレスで全身の潤いが不足している体質
・自分に対する「怒り」の感情が強く表れていました
痛みには「心の問題」という側面があります。特に検査で異常が見つからない痛みの改善、慢性疼痛の改善には心へのアプローチが必要です。
■全て自分が悪い
仕事の遅れに対して「自分が悪い」と感じたり、同僚のミスでさえ「自分がもっと頑張っていれば防げた」と思うなど、必要以上に自分を責める思考パターンが見られました。
さらに、「頼まれた仕事を断ると無能だとバレてしまう」という不安から、どんな依頼も引き受けてしまい、「できません」と言えなくなっていました。
話を聞いていくと、その根底には「自分は根本的に欠陥がある」という深い思い込みがありました。
こうした「何でも自分のせい」と捉える思考は、認知の歪みと呼ばれ、痛みや不調を悪化させる要因の一つとされています。
カウンセリングでは、この認知の歪みと「欠陥がある」という否定的な自己イメージに焦点をあて、少しずつ考え方を修正していきました。
■痛みの3要素
痛みは単なる体の痛みだけでなく、体の感覚、心の感情、考え方が絡み合っています。
効果的な施術のために、「感覚」「感情」「認知」の改善に重点を置きました。
感じる部分(感覚):
体が実際に痛みを感じる部分。例えば「鋭い痛み」「右腕がズキズキする」「10分続いている」など。
心の部分(感情):
痛みを感じるとき、心がどう反応するかです。痛いと「辛い」「怖い」「イライラする」など、ネガティブな感情が生じて痛みが悪化します。
考える部分(認知):
痛みをどう考えるか、どう受け止めるかです。例えば「これはすぐ治る」「もしかして病気かも」など、痛みについてどう思うかで、感じ方が変わります。
東洋医学では、「気(き)」の流れが滞ることで、痛みや不調が生じると考えられています。
今回は、以下のようなアプローチで施術を行いました。
① 右胸に強い痛みがあったため、「右胸の気の流れを整える」鍼灸施術を行いました。
② 不安感が強く表れていたため、心の緊張をやわらげる「精神安定」を目的とした鍼灸施術もあわせて行いました。
③ 痛みに対する捉え方や考え方のクセを見直すための思考改善カウンセリングも実施しました。
痛みのレベルが少し弱くなり、痛みが続く時間も短くなりました。
毎日鎮痛剤を飲んでいましたが、週2日に減りました。
4時間は連続で眠れるようになりました。
痛みがあっても、不安やイライラが減ってきました。
1か月間、仕事を休まず出勤することができました。
鎮痛剤を使わなくても痛みの程度がさらに軽くなり、うずくまるような激痛が少なくなってきました。
以前は、少しでも痛みを感じると「どうしよう!」と強い不安に襲われていましたが、セルフケアを通じて不安や痛みを自分でコントロールできるようになりました。
また、「できないと言ってもいい、本音を言ってもいい」という気持ちが芽生え、以前のようにひとりで抱え込むのではなく、同僚に頼れるようになりました。
自信を持って仕事に取り組めるようになり、自ら考案したアイデアが実際に商品化されたそうです。
上司から「こうしたほうがいい」と意見をもらっても、以前のように「否定されている」と感じることはなく、素直にアドバイスとして受け止められるようになりました。
胸の痛みはすっかりなくなりました。
家族内で心配ごとがあっても、以前のように胸の痛みが出ることはありませんでした。
仕事も順調で、新たに考案した商品が売上トップ3に入るなど、成果が出るようになりました。
うまくいかないことがあっても、「しかたない」と前向きに受け止められるようになり、以前のように自分を責めたり否定したりすることもなくなりました。
痛みには、身体的な原因だけでなく、心の状態が深く関わっている場合があります。
精神的に不安定な状態にあると、痛みをより強く感じやすくなることが知られています。また、痛みがあるにもかかわらず、病院の検査で異常が見つからないと、不安やストレスがさらに高まり、それによって痛みが悪化することも少なくありません。
実際にこの方は、朝に少し痛みを感じた際、「このまま仕事に行けなくなったらどうしよう」と不安が膨らみ、その結果、動けないほどの激しい痛みに襲われてしまいました。
このように、痛みの施術だけでなく、心の健康にも目を向けることがとても大切です。
もし原因がはっきりしない痛みに長く悩んでいるのであれば、身体だけでなく心のケアにも取り組んでみることをおすすめします。
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