帯状疱疹後に左顔面神経麻痺が発症し、10日間入院。
過去2回は右側の顔面神経麻痺で、ともに帯状疱疹後に発症していました。
医師からは、「ストレスによる免疫力の低下が原因」「3回目なのでどこまで回復するか分からない」と言われたそうです。
退院後1か月以上経っても変化がみられず、「治らないかも」と不安を抱えて来院されました。
・食べ物がこぼれてくる
・ストローで飲めない
・左の頬が垂れているので、食事の時に歯で頬肉をかんでしまう
・手で頬肉を持ち上げないと話ができない
・眼が閉じれないのでシャンプーを流す時、目に水が入る
・涙がでる
・左の鼻で息ができない
・左の表情筋の筋力がかなり低下しており、額、まぶた、頬の筋肉が垂れ下がり、口は右に引っ張られていました
・強弱の閉眼、片目つぶり、鼻翼をうごかす、口笛、頬をふくらます、イーと歯をみせる、口のへの字にまげる、額のしわ寄せがほぼできませんでした
・顔面神経麻痺の程度を評価する柳原法(満点40)は10点で、重症にちかい状態でした
・めまい、耳鳴りはありませんでした
・東洋医学の体質は「痰湿タイプ」で、水分代謝が悪く、水分が身体に溜まりやすい体質です
「麻痺した顔面神経と萎縮した表情筋の回復」、「自然治癒力を高めて免疫を上げる」ことを目的とした鍼灸治療を行いました。
顔面神経の走行に沿って鍼をしました。
また、顔面部だけでなく腹部のお灸と全身の鍼を行いました。
この時期は真冬で、冷たい風は麻痺を悪化させるので、お顔に風を受けないようにお伝えしました。
3回目の顔面神経麻痺なので、「治りが遅く通院回数が増えるかもしれない」ということもお伝えしました。
週3回のペースで来院。
神経が少しずつ回復してきたので、筋肉への刺激を意識した鍼も加えました。
額:眉の上の筋肉が少し動くようになり、シワがうっすらできました。
眼:まぶたの筋肉が少しピクピク動きだしました。
口:頬を挙げる筋肉が動き始めたので、頬の内側の肉が歯に当たらない時がでてきました。
「涙をぬぐう回数が少し減った」とのことです。
不安が強いご様子なので、毎回施術の前後に筋肉の確認を行い少しでも変化がみられたらご報告しました。
週3回のペースで来院。
他の表情筋とくらべて、筋肉の動きが弱い口周囲の鍼を多くしました。
額:眉を上げることができ、左右差がなくなりました。シワもくっきり作れています。
眼:眼を閉じることができるようになり、シャンプーを流す水が目に入らなくなってきました。
口:頬周囲がリフトアップされ、手で頬を持ち上げなくても会話ができるようになりました。
口:口を閉めることができるようになってきたので、飲み物をストローで飲めるようになりました(ペットボトルはまだできません)。
口:右に寄っていた唇が中心に位置しました。
「だんだん良くなっているのがすごく分かる」とおっしゃられました。
週3回のペースで来院
左右差が出ないように、右の顔にも鍼を始めました。
頬:頬の筋肉の落ち込みでなくなっていたほうれい線が見えるようになってきました。
鼻:左鼻で息ができるようになりました。
眼:落ち込んでいたまぶたがリフトアップされ、二重が戻ってきました。
眼:涙が少なくなってきたので、車の運転ができるようになりました。
口:飲み物をペットボトルで飲めるようになりました。
口:食べ物をこぼさないようになりました。
柳原法36点まで回復しました。
ご近所の方に、「麻痺が全く分からないね、元に戻ったね」と言われたそうです。
趣味のダンスを再開されました。
ストレスが溜まると再発の可能性があるので、心身のメンテナンスのため月2回のペースで来院されています。
顔面神経麻痺は顔に変化が現れるので、「早く治したい」とあせる気持ちになると思います。
しかし、神経や筋肉の回復には時間がかかり通院回数も増えてしまいます。
この方は、「すぐに治らないのは分かっているので、ちゃんと治療をして欲しい」とおっしゃっていただいたので、施術計画に沿ってしっかり施術を行うことができました。
鍼灸治療は信頼関係が大事であることを改めて教えていただきました。
感謝しております
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