数カ月前から、強い不安感や動悸、息苦しさ、みぞおちの不快感、さらに下痢が続くようになりました。
症状が悪化すると身体がそわそわして落ち着かず、夜中でも外に出て歩き回ることがありました。情緒も不安定で、周囲の何気ない言葉に涙が出てしまうこともあります。
不安がピークに達すると過呼吸を起こし、救急車で病院に運ばれたこともありました。検査では異常が見つからず、医師からは「パニック障害」と診断されました。
当時、仕事が多忙で常にストレスを抱えていました。遠方への出張が続き、月に数日しか自宅に帰れない日々。さらに近い将来に社長を引き継ぐことが決まっており、「売上を伸ばさなければならない」というプレッシャーが重くのしかかっていました。
薬を服用しても症状は改善せず、根本的に立て直す方法を求めて、当院にご来院されました。
① 強い不安感や気分の落ち込みが日常的に続き、「どうにか対処したい」と感じていらっしゃいました。
② 胃のむかつきがあり、少しでも心拍数が上がると過呼吸を思い出してしまい、そのたびに強い恐怖感にかられていました。
③ 不安感は日常生活にも影響を与え、仕事に集中できず、業務に支障が出ることが増えていました。
④ 仕事のことを考えると夜に眠れなくなり、朝まで眠れない日が続いて体調がさらに悪化していました。
このような状態を改善したいという思いから、当院にご相談いただきました。
① 強い不安感と睡眠不足によって、心身の疲れが大きく蓄積していました。常に疲労感が抜けず、精神的にも体力的にも負担がかかっている状態でした。
② 東洋医学の観点からみると、この方は「陰虚タイプ」の体質に当てはまります。これは、ストレスや過労によって身体をうるおす力が不足し、心身のバランスを崩しやすい状態を指します。そのため、疲れやすく、回復にも時間がかかりやすい傾向があります。
この方は、これまで仕事に強く打ち込みすぎた結果、心と体に大きな負担を抱えていらっしゃいました。そこで、施術では「仕事だけでなく、自分自身や家族も大切にできる新しいバランス」を取り戻すことを目標としました。
特に、パニック発作に対する恐怖心が症状を悪化させていたため、「発作を無理に抑え込もうとせず、自然に受け入れる」考え方を育むことを大切にしました。これにより、恐怖心を和らげ、心身への負担を軽減することを目指しました。
さらに、「不安が起こるのではないか」という予期不安への対処法や、緊張や不安を感じたときに自分で心を落ち着ける方法を身につけていただくことも重要なポイントでした。
鍼灸施術を通じて自律神経の乱れを整えると同時に、心理的なアプローチを取り入れることで、日常生活の中で安心して過ごせる状態を少しずつ築いていくことを目的としました。
① 「自律神経を整え、胃腸の働きを改善する」鍼灸施術
不安感や緊張を和らげ、精神を安定させるための鍼灸を行いました。また、胃の不快感が予期不安と結びついていたため、胃腸を整える施術を行い、心身の負担を軽減しました。
② 価値観の見直しと「発作を受け入れる」カウンセリング
パニック発作に対する過度な恐れを和らげるため、思考や感情との向き合い方を一緒に整理しました。さらに、「仕事一辺倒」ではなく、自分や家族も大切にできる新しい価値観を築くサポートを行いました。
③ 「不安を軽減する」セルフケア指導
日常生活の中で実践できる呼吸法やリラックス法など、ご自身で不安を和らげるセルフケアをお伝えしました。ご自宅でも継続できるようにサポートし、安心感を持って日常生活を過ごせるよう支援しました。
みぞおちの不快感や下痢が軽減し、眠れるようになってきました。これにより、予期不安も少しずつ和らいできています。
不安感や動悸、気分の落ち込みはまだ続いていますが、これは回復の過程でよく見られる一時的な段階です。継続した施術により、今後さらに改善が期待されます。
また、仕事のことを考えすぎないよう意識し、家族との会話の時間を増やすなど、生活の中にも前向きな変化が見られるようになっています。
また、過呼吸が起こらなくなったことは、非常に大きな成果です。休日にはご家族と遠出を楽しめるようになり、心身の回復に良い影響を与えていると感じられます。
「不安感に慣れてきました。以前は発作が起こると『自分はダメなんだ』と思っていましたが、今は違います」とのお言葉もあり、考え方や受け止め方の変化がしっかりと現れています。
このように、身体の改善とともに心の持ち方も変化し、生活の質が向上してきています。
多少の不安を感じることはあっても、発作の症状が現れることはなくなりました。夜も安心して眠れるようになり、以前のように夜中に外へ飛び出すこともありません。
以前は少しでも不安を感じると「どうしよう…」と落ち着かない状態に陥っていましたが、現在は「まあ、いいか」と受け止められるようになり、不安を引きずらずに過ごせています。
これは、発作を受け入れ、感情をコントロールする力が身についた大きな変化といえます。
その後はメンテナンスのため、月1回ほどのペースで来院されています。
「考え方が変わり、仕事とプライベートを分けられるようになった」とお話しされており、価値観の変化が定着し、ワークライフバランスを保てるようになっています。
当院では、このように症状の改善だけでなく、心身の安定と生活の質の向上を目指してサポートを続けています。
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