10年前に看護師として勤務していたものの、うつ病にかかりながらも仕事を続けていました。しかし、適応障害と診断され、病院を辞めざるを得なくなりました。
その後、実家に戻り、何度か就職しましたが、不安感や人間関係の問題で退職を繰り返していました。最終的には、8年間仕事をしていない状態でした。
過去の出来事を振り返り、失敗や後悔に苦しみ、「あの時こうしておけばよかった」と自分を責めることが多く、将来についても強い不安感を抱えていました。
親に申し訳ない気持ちが強く、何とかして仕事を再開しなければという思いがありました。
しかし、心療内科やカウンセリングに通うも、思うように回復せず、最近では一日中ふさぎ込んで食事もできず、睡眠も取れない状態が続いていました。
そのため、当院に来られることとなりました。
・自分が社会復帰して、親に対して感謝の気持ちを形にしたいという思いが強い一方で、その一歩を踏み出すことに対する不安が大きく、どうしても行動に移せない状況でした
・睡眠に関しても問題を抱えており、寝つきが悪く、夜中に目が覚めてしまうことが多く、心身の休養が取れない状態が続いていました。
・落ち込むと気持ちが持ち直せず、数週間部屋から出られなくなることがあり、日常生活を送ることが難しくなっていました。
・思考のサイクルが止まらず、ネガティブな考えが頭を占め続けることに対して恐怖感を抱えており、それが日常生活を圧迫していました。
・過去に対する後悔、将来に対する不安が強い
過去の出来事を振り返り、「あの時こうしておけばよかった」という後悔が強く、将来に対しても不安を抱えていました。
・自己否定感が強い
自分に対して厳しく、自己否定的な思考が目立ちました。自分の価値を見いだせず、どこか自分に対して「足りない」「だめだ」と感じている様子があり、その思考が心の負担を大きくしていると感じました。
・自尊心の低下
自分自身を大切にする気持ちや、自分が達成できるという自信が欠けており、自尊心が低くなっていました。社会復帰への一歩を踏み出すことを躊躇わせている原因となっているように感じました。
・東洋医学の体質は「気虚タイプ」
東洋医学的に見て、患者さんは「気虚タイプ」の体質に当てはまります。これは全身のエネルギー(気)が不足している状態で、精神的・身体的に疲れやすく、元気が出ない、力が湧かないという特徴があります。このタイプの方は、心身ともにバランスが取れず、エネルギーの低下から不安感や落ち込みが強くなることが多いです。
心理学の理論によれば、社会とのつながりは自尊心に大きな影響を与えるとされています。自尊心は、自分を大切にし、価値を感じることができる気持ちを指します。
この方は長期間家に閉じこもっており、社会とのつながりがほとんど断絶していました。そのため、自尊心が著しく低下している状態でした。
この方の自尊心を回復させるためには、まず重要な他者である母親との関係性の再構築が鍵となると考えました。母親との日々のコミュニケーションを増やし、安心感や愛情を受けることで、少しずつ自尊心を回復し、自分を大切に思えるようにサポートしました。
母親との良好な関係性が、社会的なつながりを再び作り出し、外の世界とのつながりが感じられるようになることを目指しました。
また、過去に対する後悔や将来への不安がこの方の落ち込みの原因となっていました。これらの考えが気持ちを重くし、前向きな行動を妨げていました。
過去や将来に縛られるのではなく、時間軸を「今」に集中することが精神的な安定に必要でした。そのため、鍼灸施術とカウンセリングを通じて、「今の自分を受け入れる」ことを重視しました。
これにより、過去を振り返ったり、将来を過度に心配したりするのではなく、今この瞬間に集中できるように導きました。
施術の目的としては、心身のバランスを整えながら、過去の後悔や将来への不安を解消し、「今」の自分を肯定することを実現することでした。
➀ 精神安定の鍼灸
自律神経を整えることを目的とした鍼灸施術を行いました。精神的な安定を促すために、リラックス効果の高いツボに鍼を施し、心身のバランスを整えるようにしました。
② 「今の自分を肯定する」カウンセリング
過去の後悔や将来への不安にとらわれることが多かったため、「今の自分を受け入れる」ことをテーマにカウンセリングを行いました。
③ ポジティブ思考を促す心理学のワーク
ネガティブな思考を転換し、ポジティブな視点を養うための心理学的ワークをお渡ししました。
④ 感情をコントロールするセルフケア
感情の波に左右されやすいため、日常生活の中で簡単にできるセルフケア方法をお伝えしました。深呼吸やリラックス法、マインドフルネスを取り入れ、感情が高ぶったときや不安を感じたときに落ち着く方法を習得していただきました。
初回と同様に鍼灸施術とカウンセリングを行いました。
以前として常にぼーっとしていて、頭がうまく働かない状態です。
睡眠の質が向上し、目覚めも少し良くなりました。以前のような深い疲労感やだるさが減りました
セルフケアを実践することで、過去のことを考える時間が徐々に減少してきましたとのことです。以前は、過去の後悔やネガティブな考えが強く支配していましたが、少しずつその思考のループから解放されるようになりました。
しかし、いったん落ち込むと自己否定が止まらないという課題は依然として続いており、感情のコントロールが難しい瞬間があるようです。この状態は少しずつ改善されつつありますが、まだ自己否定に陥りやすい場面もあります。
親に感謝しているが、まだその気持ちを伝えることができないという点については、心の中では感謝の気持ちがあるものの、言葉にすることに対するためらいや不安が残っているようです。
以前は、激しい落ち込みが続き、1週間ほど寝込んでしまうことがありましたが、今回はわずか2日間で回復しました。感情のコントロールが少しずつできるようになり、その感覚をつかめてきたという実感があったようです。
また、働こうという意欲が芽生え、実際にハローワークにも足を運ぶことができました。ただし、応募する勇気がまだ出ない状態ですが、これは新たな一歩を踏み出すための準備段階として、大きな進展といえます。
寝る前にネガティブなことを考える時間が減少し、ポジティブな方向へ意識が向かうようになったとのことです。
また、母親に対して「ありがとう」と感謝の言葉を伝えられるようになり、親子関係も改善に向かっています。
このように、少しずつ自分を受け入れ、前向きな気持ちを取り戻していく様子が見受けられます。
精神状態は非常に良好で、前向きな考え方ができるようになってきました。以前のような落ち込みや不安感が減り、ポジティブな思考を自然に持つことができるようになったことは、大きな進歩です。
さらに、就職に有利な資格を取得するという具体的な成果も得られました。これにより、自信がつき、就職に対する不安感も大きく軽減しました。「なんとかなるだろう」という前向きな気持ちで、新たな挑戦を受け入れられるようになった点が、精神的な回復の証拠です。
また、母親との関係が改善し、思っていることをお互いに話せるようになりました。以前は言いたいことを言えなかった状態から、コミュニケーションが取れるようになったことは、心理的な安定を意味します。
ハローワークで資料を集め、希望する会社が絞れてきたとのことです。応募する準備が整い、実際に応募を始めたことは、大きな一歩です。
ポジティブな思考が自然に身についてきた実感があるとのことです。以前は落ち込むと長期間引きずってしまうことがありましたが、今ではその状態から回復するのが早くなり、心の変化が感じられます。
会社見学を行い、数社に応募しました。自分に合った職場を見つけるための積極的な行動ができていることは、前向きな未来に向かっているといえます。
さらに、両親だけでなく、今まで疎遠だった姉たちとも会話ができるようになったことは、人間関係の改善を示しています。これまで心の中で閉じ込めていた感情を外に出すことで、家族や周囲との繋がりが強化されており、精神的な安定が深まっています。
精神面での安定やポジティブな行動が増え、生活全般が良い方向へと進んでいるのが感じられます。
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